ドイツの法律

ドイツのプライベート保険の患者は、見積書or請求書のFAKTORを要チェック!必要以上に高い可能性があるかもしれません。法定保険とプライベート保険の違いについても解説します。

ドイツでプライベート保険を利用している方は、請求書に書かれている数字を要チェック!必要以上に高い可能性があるかもしれません。
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こんにちは、るにまろです!

今回はちょっとかしこまって、ドイツの健康保険にまつわるお話です。
日本では、誰でも入れる国民健康保険と、会社員などが加入する社会保険がありますよね。

ドイツでも健康保険には種類があり、法定保険とプライベート保険と、2種類の保険に分かれています。

今回のお話は、主にプライベート保険に加入している方に向けてです。

主に、海外駐在員及びそのご家族在外研究者など、「ドイツに長期滞在しているけれど、法定保険が義務付けられていない方々」が今回のテーマに当てはまります。

しかし既に法定保険に加入している方も、いつかプライベート保険に切り替えをされる方もいるかもしれないので、ぜひ参考までに見ていってくださいね。

<るにまろの忠告>
法定保険は若いうちは、保険料がプライベート保険に比べて高いですが、老後までドイツに住む場合、将来的に保険料が大きく逆転する可能性があります。

一度プライベート保険に乗り換えると、その後に法定保険に戻ることはかなり困難と言われています。既に法定保険の方は、保険料の安さだけでプライベート保険に安易に乗り換えるのは避けましょう。

それではレッツゴー!

法定保険とプライベート保険の違い

さて、法定保険とプライベート保険の違いについて簡単に説明しますね。まずは法定保険について軽くお話します。

法定保険/Gesetzliche Krankenversicherung(GKV)

法定保険のイメージは、法定保険=日本で言うところの国民健康保険に近いと理解してOKです。

ドイツは国民皆保険制度なので、ドイツに長期滞在する以上は、何らかの保険に必ず入っていなければいけません。

特に留学生など、たとえ半年・一年しか滞在しなくても、長期旅行保険だけでは滞在が認められず、法定保険に入ることがマストです。

留学する際に、日本の教育機関を通じて旅行保険に入ったのに、結局その保険がドイツでは認定されずに現地の法定保険に入る学生を見たことがあります。

これは毎回起きているのでしょうか。そうだとしたら学生さんにとってかなりの負担ですよね…

ちなみに、日本でいうところの「〇〇会社健康保険組合」などもドイツにはないため、多くの現地の会社員も、ほとんどが法定保険に入っています。国保に入るようなものですね。

法定保険のメリット・デメリット

法定保険の最大のメリットは、通常のケガや病気の治療は、保険料でカバーされていることです。

つまり保険でカバーできない箇所は、医師と患者間の合意の元に、改めて署名などの契約を交わします。

なので、病院から何も言われなかった場合は、当日の費用が一切掛からないので、診察が終わったらすぐに帰宅してOKです。

これ、日本人ははじめは慣れないですよね…(当時、私は知人の小児科への付き添いで驚きました)

逆に法定保険のデメリットは、カバーされている範囲が必要最低限というところです。

もちろん、通常の病気やケガなどは全て保険でカバーできるので、風邪をひいたとか、手をケガしたとか、足を捻挫したとか、そういうフツーのことは全て法定保険の範囲内(実費はかからない)ですのでご安心を。

法定保険で麻疹や風疹、インフルエンザなどのワクチンもお金がかからずに受けることもできます。

ドイツにいる間に、日本では有料のワクチンを受けておくのも良いかもしれないですね。詳しくは、るにまろが書いたこちらの記事をどうぞ。

なお、ドイツでは病院と歯科は明確に分かれているのでちょっと特殊なのですが、法定保険でも「年に2回の定期健診&歯のクリーニングは無料」です(確か)。

それ以外でも虫歯など、通常の歯科の対応範囲は無料か、かなりお安い金額でやってくれますので、この辺りも通常生活する分は問題ないでしょう。

なので、法定保険に加入している方々にとっては、今回の記事の「病院からの請求書」は本来あまり縁がないのですが、今後、歯の審美治療など、自由診療をする場合には関わってくることもあるかもしれません。

というわけで、法定保険のお話はこのくらいにして、次に進みましょう↓

プライベート保険(Private Versicherung)

さて、今回のテーマであるプライベート保険は、俗にいう「お金持ち保険」です。
なんとドイツの全人口の約10%しか加入していない、プレミア保険です。

プライベート保険は、エリートサラリーマンや弁護士、医者など、ある程度たくさんお金を持っていて、医師からよりよいサービスを受けたい人たちが加入します。

また、法定保険は国が関わっている分、何かと条件があるので、日本からの海外駐在員や、在外研究者などの中期滞在者もプライベート保険に入ることが多いです。

ちなみに30歳以上の学生も、法定保険への加入義務がなくなります。
この場合、自分のプライベート保険の加入証明書を持って、TKやAOKなどの法定保険を取り扱っている窓口に行くと、法定保険の免除証明書を出してくれますよ!

プライベート保険のメリット・デメリット

プライベート保険の最大のメリットは、法定保険より膨大な項目が保険からカバーされることです。
お高い分、謎のウェルネスサービスがあったり、一般診療時間の待ち時間が優遇されたり、保険によってはかなり充実しているようです。

ちなみに歯科も、プライベート保険では、「1人年間3000ユーロまでの歯科サービスをカバー」など、かなり充実しています(もちろん加入する保険によって異なります)。

しかも、インプラントや成人してからの歯列矯正(未成年の歯列矯正は法定保険で無料のはず)など、見積もりでOKが出れば、疾病治療でなくてもかなりカバーされる場合が多いです。

その一方、デメリットについてです。

お支払いに関しては法定保険と比べて、ひと手間掛かります。つまり、後日請求書が送られてきて、患者が一旦全額を立替え払いをすることになります。

  1. 診療後、病院から請求書が届く(2週間~2カ月程度)
  2. 請求書が届いたら、一度、自分自身で全額を立替え払いする
  3. 医療明細書と支払いレシートを保険会社に送付(多くがPDFやアプリ対応)
  4. 後日、保険会社から医療費の払い戻しが行われる(2週間~2カ月程度)

このような形で、法定保険よりも、ひと手間掛かるのはちょっと面倒ですね。

<要注意>請求書を受け取ったら、FAKTORをチェックしよう!

さて、法定保険とプライベート保険の違いが分かり、プライベート保険がなぜ請求書が送られてくるかが分かった所で、ようやく本題です。

プライベート保険で診察を受けた後、請求書が届いたら、まず医療明細書のFAKTORをチェックしてください。

合計金額に目が行きがちですが、どちらかというとFAKTORが重要です。なぜならそれが医療単価の掛け率だからです。

ここで注目ポイント:1,0~2,3に収まっていますか?
(るにまろの経験上、通常の治療項目は1,8や2,3ぐらいが多いはずです。皮膚科の先生に直接聞いて確認したこともあります)

ここに、もし3,5以上(確かMAXで4,0)が出てきたら、ちょっと目に留めておきましょう

もちろん治療によりけりで、1つや2つぐらいの上乗せはあるかもしれませんし、本当に必要な治療かもしれません。

しかし、もしほとんどのFAKTORが3,5以上の場合、るにまろとしては、ちょっと大丈夫かな…?と少し心配します。単純に言うと、医療費が必要以上に高くなっている可能性があるからです。

なぜなら、るにまろたちは歯科で見積もりを取ったとき、その経験が2回もあったからです。

るにまろ夫婦の歯科での体験談

プライベート保険の加入者は、通常は病院にとっては良いお客さんです。通常はそれで問題になることはありません。

しかし逆に、プライベート保険に加入している外国人は、悲しい現実ですが、ある意味良いカモでもあります…

ドイツ語が苦手な方も多いし、現地の医療システムを分かっていない方も多く、仕方ないのですが、プライベート保険を見せる時は毎回ちょっと緊張していました。

海外の歯科は高いことで有名です。

最初の歯医者では、見積もり時点で、歯の定期健診とクリーニングだけで300ユーロ…ちょっと虫歯を直すと700ユーロでした。これが1回目の経験でした。

るにまろ

その歯医者はやめて、しばらく長い間、歯科探しを続けて、違う歯医者さんで対応してもらいました。
定期健診&歯のクリーニングでたった150ユーロぐらいだった気がします。

(法定保険の場合は、歯のクリーニングで50ユーロ程度のところもあるので、その辺りの価格差は仕方ないですね)

ちなみに後日。

るにまろの夫に、歯に異常が見られたので、別の歯医者で見積もりを取り、2~3回通院しました。その時は見積額で1000ユーロを軽く超えました。これが2回目の経験です。

これを現地の知人などに話すと「えっ!?」と言われたので、やはりぼったくられた高かった可能性は高いです。

<余談>
現地の別の友人も、私たちと同じ歯科でトラブルになっていました。

彼女は診察台に座り、麻酔も打って、さあこれから治療というときに、「法定保険が適応できないから、追加料金200ユーロの了承にサインをくれ」などと言われたという、ひどいものでした。

もしかしたら私たちは、無数にある歯医者の中で、たまたまハズレガチャを引いただけなのかもしれません。

というのが、ドイツの医療費のからくりを調べてから、過去の2つの歯科見積もりを見返してみると、そのどちらも、確かFAKTOR: 3,5が(他の病院の請求書に比べて)異様に多かったんですよね…

るにまろ

当たり前ですが、事前に保険会社に見積もりを送って「全額返金される」とお墨付きをもらっていました。

なので、結果的には、るにまろたちの自腹は1円もありませんでした。

なお、プライベート保険は歯科サービスの保険適用可能枠が決まっています。

例えば、1人年間3000ユーロまでの保障であれば、本来より必要以上に高い治療となった場合、無駄な年間枠を使ってしまったことになります。

今年は歯列矯正したいな~とか、ホワイトニング興味あるな~でしたら、自分が持っている上限枠は有効に使いたいものですよね。

るにまろたちは、高価な審美医療は受けませんでしたが、それらを受けたい方は、歯科における年間の保険適用可能額に注意してくださいね。

<大切なこと>
ここまで、請求書のFAKTOR値をチェックしよう!というお話をしてきましたが、「その治療は本当に適切だったのか、それともぼったくりだったのか」ということは、お医者さんにしか分かりません。

私たち素人が治療内容についてとやかく言うことはできません。

患者側ができることは、2~3件の見積もりを貰って、自分の症状と、それに見合った治療費かどうか?と目安を知ることぐらいです。

そして、その治療を受けるのか、自分自身で判断しましょう。間違っても治療を受けた後に、請求書でごねるのはやめましょう。

必ず、事前に見積もり(できれば相見積もり)を取って、保険会社に全額返金可能か、確認してくださいね!

というわけで、ここで本編は終了です。

オマケ:請求書が2カ月来なかったら要注意!

さて、余談です。

ドイツの法律では、病院の請求書には基本的には時効がありません(確か…)
なので、忘れかけたころに請求書が届く場合もあります。

クレジットカードと同様に、病院にも締め日があるので、クリニックの締め日直後に受診した場合、最大で2カ月ぐらい請求書が届くことが遅れることがあるんですよね。

請求書発行→郵送には数日かかると考えても、もし2カ月以上経っても来なかったら、明らかに遅いです。

この場合、すぐに病院に問い合わせましょう。帰国日が迫っていても同様です。必要であればPDFなどで請求書の再発行をしてくれるはずです。

既に日本に帰国している場合、ドイチェポストに郵便の転送届をしていたら良いのですが、宛先不明になると、未完の請求書が現地の医療機関に残り続けることになるため、督促などが行われる可能性もあります。

支払い遅延金などを考えるとかなり怖いですよね…

まとめ

というわけで、本日のまとめです。今日はドイツの健康保険にまつわるお話でした。
情報が盛りだくさんでしたが、頑張ってついてきてくれた皆さまに拍手!

さて、最後に、今一度、書いておきたいのが、「結局のところ、治療が本当にぼったくりだったのか」ということは、お医者さん本人にしか分からないということです。

るにまろは自身の体験談を通じて、一般的な治療はFAKTOR 2,3ぐらいで収まる場合が多いですよ、というお話をしただけで、治療の難易度によっては、3,5が適切な場合もあるでしょう。

なので、地道に見積もりを取って「高いと感じたなら治療を受けない」という選択を自分自身で行うことが大切です。

病院に見積もり内容やお値段の理由を聞くことはもちろんOKですしね。

ただし素人が「値段が高い・安い」と安易に文句を言うのはNGですので、その辺りは気を付けましょうね。

いずれにしても、もし治療を受けるなら、事前に見積もりを保険会社に送って、保険がどれぐらい下りるかの判断を仰ぐことは忘れずに!

以上、るにまろでした。また次回お会いしましょう。チャオ!

海外に到着したらすぐにSIM契約すること!

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございます!

近々ドイツ(またはほかの国)にお引越しをされる方へ。
駐在でも留学でも、フリーWi-Fiを求めてカフェを探すのはとても大変です。

なので到着するとすぐにSIMを契約することになると思います。
ドイツでSIMを契約したい方は、私が以前書いたこちらの記事をご参考ください。

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